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【焼き入れ】 やきいれ
分類:機械加工学
 Quenchig。オーステナイト領域にある鋼を常温の水や60-80程度の油を用いて急冷する事でマルテンサイト鋼を作る熱処理。刀鍛冶等で行われる「焼き入れ」の事であり、鋼を鍛える工程である。名前くらいは聞いた事あるでしょ?
 硬度・耐磨耗性を得る事が出来るが、その反面、残留応力の発生や割れ・曲がりが発生する危険が高い。
関連用語: オーステナイト≫≪マルテンサイト≫≪焼き鈍し≫≪焼き準し≫≪焼き戻し

【焼き鈍し】 やきなまし
分類:機械加工学
球状化焼き鈍しの温度操作図 Annealing。冷間加工・焼入れetcの影響で生じた残留応力などを除去し、軟化を目的として行われる熱処理。
 焼きなまし温度727以上(正確には亜共析鋼で『A3変態点+50程度』、過共析鋼で『A1変態点+50程度』)の焼き鈍しを "完全焼きなまし" と呼び、残留応力を含むそれ以外の全ての除去を目的とする。
 焼き鈍し温度が再結晶温度(約500)以上且つA1変態点以下(通例600-650程度)の焼きなましを "応力除去焼きなまし" と呼び、残留応力の除去を目的とする。
 オーステナイトから除冷した鋼に存在する層状パーライトに形成される初析セメンタイトは、鋼の切削・塑性加工性を低下させる。そこで、その初析セメンタイトを球状化する事で焼きの均一化を計り、鋼の切削・塑性加工性、及び靭性・工具寿命を向上させる操作を "球状化焼き鈍し" と呼ぶ。尚、球状化焼き鈍しの温度操作は右図のような手順を踏む。具体的には「1.A1変態点直下まで加熱し、後に冷却」「2.A1変態点直上まで加熱後、直下まで冷却――と、加熱・冷却を繰り返した後、冷却」「3.A3変態点以上(case of 亜共析鋼)、若しくはAcm変態点(case of 過共析鋼)まで加熱した後に急冷し、再度1か2の操作を行う」。
関連用語: オーステナイト≫≪亜共析鋼≫≪過共析鋼≫≪セメンタイト≫≪パーライト≫≪焼き入れ≫≪焼き準し≫≪焼き戻し

【焼き準し】 やきならし
分類:機械加工学
 Normalizing。圧延・鋳造・鍛造などの影響で発生した残留応力の除去、粗大化した結晶粒の微細化、靭性等の機械的性質の向上を計る熱処理。
 手順としては、800-900(鋼がオーステナイト領域に変化する程度の温度)まで加熱した後、空冷する。
関連用語: オーステナイト≫≪焼き入れ≫≪焼き鈍し≫≪焼き戻し

【焼き戻し】 やきもどし
分類:機械加工学
 Tempering。焼き入れした鋼をA1変態点変態点以下に再加熱し、不安定相を安定相へ変える熱処理。
 焼き戻し温度が150-200の焼き戻しを "低温焼き戻し" と呼び、一般に%Cの高い鋼や、刃物・ゲージ類のように硬さと耐磨耗性に優れた要求が成される製品の応力除去を目的とする。
 焼き戻し温度が550-650の焼き戻しを "高温焼き戻し" と呼び、0.6[%C]以下の構造用鋼を粘りと強さを持つ鋼に変える事を目的に行われる。
関連用語: 焼き入れ≫≪焼き鈍し≫≪焼き準し

【八尺瓊勾玉】 やさかにのまがたま
分類:日本神話
 日本に伝わる三種の神器の一つで、豊穣の象徴とされる。余り知られていない事実だが、「八尺瓊勾玉」とは飽く迄も一般名詞で、古代の装身具の一つであった。数多の勾玉を長き緒にて貫き連ねて輪にした物だが、勾玉の材質については、詳細な資料は残っていない。恐らく、当時貴重な物質であった翡翠や瑪瑙の類であったのだろうと思われる。現在宮廷に在る三種の神器の内、唯一この八尺瓊勾玉だけが本物である。
 この神璽についての逸話を一つお聞かせしよう。それは、建速素盞鳴尊神が死んだ母に会いに冥府へ行く前に、一言別れを述べようと姉である天照大御神に会いに行った時。天照大御神は、素盞鳴の荒々しい姿を見て、高天原たかまがはらへの侵略の意思有りと見て身構えた。
 しかし、素盞鳴としてはその意志は無く、天照大御神に対して誓約うけひ(まじないの一種だと思いねぇ)でどちらの言い分が正しいかを決めようではないか、と申し出た。
 天照大御神は弟の持つ天尾羽張の柄を三つに折り、それを粉々に噛み砕くと、その息吹から多紀理毘売命たきりびめのみこと市寸島比売命いちきしまひめのみこと多岐依毘売命たきつひめのみことを御生みになった。
 対し、素盞鳴は姉から八尺瓊勾玉を借り受け、それを同じく粉々に噛み砕いて息吹を掛けて、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命まさかちあかちかちはやひあめのおしほみみのみこと・天之菩卑能命・天津日子根命あまつひこねのみこと活津日子根命いきつひこねのみこと熊野久須毘命くまのくすびのみことを御生みになった。
 結果、素盞鳴は身の潔白を証明されるのだが……結局傍若無人な振る舞いをして姉を怒らせ、彼女を天岩屋戸あめのいわやとに隠れさせる羽目になった。馬鹿な神様だ。
関連用語: 天照大御神≫≪天之菩卑能命≫≪天叢雲剣≫≪八咫鏡≫≪建速素盞鳴尊神

【八咫鏡】 やたのかがみ
分類:日本神話
 日本に伝わる三種の神器の一つで、日の光とその恵みを象徴する。真経津鏡まふつのかがみとも呼ばれる。元々は八尺瓊勾玉同様、一般名詞としての名前であったが、いつの頃からかそれはたった一つの御神鏡を指す固有名詞となった。現在宮廷に在るのはレプリカで、本物は伊勢神宮にて身分高き者の目にさえも触れる事なく、極めて厳重に、そして大切に保管されている。
 天照大御神の天岩屋戸あめのいわやと隠れ(詳細は天照大御神を参照)の折り天照大御神の姿を映したとされ、以来、この御神鏡は天照大御神の移り身だとされた。その持て囃しぶりは凄まじく、天叢雲剣は古の即位の儀式の中で使用され続けたが、八咫鏡は恐れ多いとして使われなくなった程だ。
 日本では古来「八」は単純に「大きい事・多い事」を意味しており、「咫」は長さを表わす単位であった。そこで、この鏡は単純に「大きな鏡」とも言われたが、伊勢神宮にて安置されたるその容器の寸法を測ったところ、丁度八咫(現在の寸法にして144cm)の円周を持つ円盤が入る大きさであり、「八咫」とはその円周を暗示しているとも言われる。
関連用語: 天照大御神≫≪天叢雲剣≫≪八尺瓊勾玉


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