Frame ON

LAST KISS
  評価点:70点  刊:電撃文庫  著:佐藤ケイ  絵:高梨ひつじ
   この作品を読んだ時、あなたはどちらについて考えますか?"死ぬ" と言う事でしょうか?それとも、"生きる" と言う事でしょうか……?
 不満点こそ多々あれ、ストーリー的な面では、とても面白かったです。天国に涙はいらないを読んでいただけに、全く期待していなかったんですけどね……。どうして初めにこう言うのを出さないかなァ?とか思っちゃいました。ま、金賞受賞者の面目躍如ってところですか。
 物語は、『不治の病に罹った病弱の妹』井崎由香と『そんな妹に対して苦手意識を持つ兄』井崎智弘の話。初めは妹の事を『珍獣』のように取り扱っていた智弘が、少しずつ『妹』として由香の事を好きになっていく過程。『兄』に懐き、少しずつ『男』として愛していく過程。そんな暖かな2つの「過程」があるからこそ、呆気無い結末が悲しく、涙を誘います……。
 この物語の中で、誰が一番哀しかったのでしょうか?俺が思うに、きっとそれは、父親だったと思います。最期の最後まで一縷の希望に縋り、掴み取った希望の光を手に戻ってみれば、希望を届けるべき者はいない――。彼は結局、娘の死に目にさえ立ち会えなかったのですから……。
 しゃれ抜きで、泣けそう。なにしろ読んでる間ずっと「From tha Past, To the Futuresung by "THE ALFEE")」聞いてたからねぇ。通勤途中の電車の中じゃなかったら、きっと年甲斐も無く涙を流していただろうな。それだけに、物語にHappy Endを願う方には決してお奨めしません。この物語は、とっても哀しいですから……。
 で、内容に関してはここまで。以下、初めに書いた「多々ある不満点」について。
 まず、本文全てが口語一人称ってのが癇に障る。これは天国に涙はいらないでも顕著に出ていた傾向ですので、恐らくは佐藤ケイと言う作家のカラーなんでしょうね。悪いとは言いません。ただ「嫌い」です。
 続いて。「ドラマ」を見ているのではなく、「ドキュメント」を見ているような感じを受けました。だからこそお話に共感できた、と言う面は当然あるのですが、やはりお話の中でくらいは「奇跡」を信じたいものではないでしょうか?勿論、それはそれを受け止める人にも、程度にもよるんですけどね。まぁ、世の中小宇宙コスモを燃やせば軽々しく奇跡が起こるものではないですから。
 次。ギャグが全くこれっぽっちも笑えない!まぁ、これに関しちゃ俺も人様の事ウダウダ言えた義理でもありませんけど。何より、ギャグは別にこの作品の本質じゃありませんし。まぁ、好みの問題っつぅ事で。
 最後。ラスト一文でああ言う落とし方するのはいただけない。「最後に落とす」のは良いですけど、ラスト一文はちょっとね。俺的には「ラストの五行くらい前で落として、最後は綺麗に締める」ってスタイルの方が好きです。――いや、これも好みの問題なんですが。
 以上、不満点。これらの不満点が解消されていれば、採点の方も文句無く80点超はいっていたでしょうね。でも、それらを差っ引いても充分に楽しめる作品ではありました。特に最後の日記の所なんて、由香の「全て」が出し尽くされていました。兄を愛した自分、好きなかんネェを嫌いになりたくない自分、死ぬのが怖くないと意地張ってる自分、やはり死ぬのが怖いと思っている自分、死にたくない、生きて綺麗な女性になりたいと思っている自分――そんな、由香の全てが……。最期に訂正された最後の一文は、由香の本当の本当の本音が、力強く書き綴られていました。
 「哀しい」物語に耐える心があるのでしたら、御一読あれ。そして、一度「生死」について、考えてみて下さい……。

RUMBLE FISH 1 新学期乱入編
  評価点:80点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   学園ロボットコメディ。いや、コメディは違うが。まぁ、そんな感じのノリ。
 受けた印象は「ロボット」物だけどロボット(RUMBLE FISHではRAID FRAMEと言います。タイトルもロボットも略語はRF)を出して戦う事より、ロボットを通して物語を作り上げる事に重きを置いたように思えた。実際ロボットを使った戦闘シーンよりも、ロボットの製作課程やそれに携わる人間関係の方が前面に押し出されていた。と思う。
 所で、流石は三雲岳斗先生。キャラクターが生き生きとしてます。これだけの人間を書き分けれるのは、それだけ楽しく複雑な人間関係を送って来たからだろうか?などと作品にあまり関係無い事思ってみたり。特にまりあのふわふわ感が何か好き。
 取り敢えず今巻は導入編。次回以降のお話に期待大。
PS:ブービートラップ作成中の瞳子の目がとても良い味出してます。
PS?まりあがランブルフィッシュの飼い方を説明する件が妙に気に入ってしまったのは何故だろう?

RUMBLE FISH 2 中間試験暴走編
  評価点:75点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   話を要約すると、高雄沙樹(RF:銃蛭蛇――もとい、ガンヒルダ)と林崎要(RF:クリムズン・エッジ)が闘う第二回戦。その終了間際にガンヒルダが暴走した。暴走したガンヒルダを止めようと教習用のRF:タロンに乗り込む由良まりあと志村瞳子。暴走納めたその後で、校医・東郷カオルコから逃げ出した沙樹はヒドい目に遭うのでした。めでたしめでたし……。なんですが、そのたったそれだけの間に詰め込まれた内容の濃さに圧倒されます。
 絡み合う人間関係。もつれ合う人の想い。ほぐれ行く心の重荷。どうしたらそんだけの物が書けるンすカ〜〜?!相変わらず、人と人との係わり合いが深いです。重厚です。その手腕の一割でも良いから欲しいと、常々申していますから、もう聞き飽きましたか?
 今回の見所は、深見将利と白石奈緒の過去の因縁、林崎要と越智芹架の擦れ違いの想い。あとは由良まりあの悲運な過去の暴露と、「守ってあげます」。それと、白石奈緒のナース姿かな?(最後はあまり俺は興味無し)
PS?やっぱり、由良まりあのふわふわ感が好き。そして、そのふわふわ感の裏にある物を、出来るだけ早く振り払って欲しいと想う。

RUMBLE FISH 3 場外乱闘恋心編
  評価点:75点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   一人一人に物語がある――ちょっとした作品なら単なる「脇役」でしか無いキャラクター達も、一人一人が物語を持って、一人一人が動いている。読んでいて、リアルに作品の世界が広がります。
 何ででしょうね?新学期乱闘編中間試験暴走編がそう言うリアルな世界の広がりが無かったわけでは無いのに、この巻ではこれを言わずにはいられなかった。
 それは一先ず置いておいて――良いのか?――、毎回恒例の見所Pick up!(恒例じゃない)。
 まず何よりも先に、D班班長・深条海里。物語の冒頭で、心労によってプッツン逝っちゃったのが可哀想すぎて笑えました(笑うな)。勿論、彼も彼の物語を持っています。A班で彼を襲った悲劇は、いつか語られる時が来るのでしょうか……?
 続いて、A班小猿・貴城史。彼にも物語があります――が、彼の物語の今後は、髪型(笑)。どうなるんだろう?個人的には逆モヒの方が笑える。
 そして、由良まりあ。やっぱり、彼女の心の奥底でいつまでも燻っている何かが、胸を痛めます……。
 さてさて、少しずつ謎が浮き彫りにされるRUMBLE FISH、今後の展開に目が離せません。
PS:作品のキャラクターが非常に覚え易い。名前の読み方の容易さもそれに一役買っているのですが、やはり、一人一人が物語を持って動いているから、読者の心に強く印象を残しているんだろうなァ。

RUMBLE FISH 4 伝説崩壊編
  評価点:70点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   チッ……史は虎刈りで妥協か……。何よりも真っ先に思った事はそれでした。どうせならもっと奇抜な髪型が良かった。
 面白かったです。でも、手放しに褒め千切る程の面白さではありませんでした。
 では、キャラクターを追いながらストーリーを見ていきましょう。先ずは、"王子" こと藤真とうま蒼威あおい――どうしても「姓名共に名前に聞こえる」んだよね。どうでも良いけどさ――。彼の二面性は、中々面白い。表は見事なまでな善人っぷりだけど、裏の人格は飄々として自分が楽しむためなら他人を簡単に騙せる我儘人間。ここまで裏表があるといっそ清々しいです。
 そして、もう一人は高雄たかお沙樹――こいつもよう考えると「姓名共に名前」な響きだな――の妹・香夜かぐや。まぁ、自分の「夢」ってのは、言う程簡単なものではありませんよね。俺も小説家になりたいとは思っていますが、それが本当に「夢」として昇華されているのかどうかは、正直甚だ疑問です。実生活を犠牲にしてでもその夢に突き進もうと出来ないような「希望」は、決して夢では無いと思っているので。恐らくは――俺の希望は、「夢」と言える程に成長はしていないのだと思います。彼女には、自分の「夢」を見付けて欲しいものです。
 ンで、場外乱闘恋心編で心労祟ってプッツンきた深条海里。優柔不断の挙句に売店メニューを全品揃える当たりにかなり笑いました。彼は、香夜こう言いました。
  「夢を持っている人間はずるいと、きみは言ったよね。
   きみは、夢を持っている人間が、
   なんの代償も支払わずにその夢を抱いてられると思っているのかい?」
 そう、ですよね。「夢」って言うのは、現実に何らかの代価を賭してでも――実際に支払うかどうかは別として――掴もうと望むまでに昇華してこそ「夢」としての価値を持つものです。俺みたいに「機会があれば、それを目指したい」と言うレベルでは、さっきも言いましたが、単なる「希望」。お客様方は、「夢」を持っておいでですか……?
 と、ノリ的にこのまま終了してしまいそうな勢いな読点を打ちましたがもう少し御付き合い下さい。
 キャラクターとしてメインに焦点置く連中はこの三人ですかね。他にもラスボス的な連中とかも出てきましたが、それらは続巻の行動に期待。ただ、今回俺が感じた印象は、「色々なキャラクターに焦点をコロコロと変えたせいか(文章自体の『視点』も実際に変わっていましたが)、全体的に消化不良気味」だったと思う。次は、一人一人に確りとした焦点を当てて物語を進めて欲しいです。
 タイトルの「伝説崩壊」は、何の伝説ですか?結局プロトシグリットは無敗のまま恵里谷を去ってしまったしなぁ……。

RUMBLE FISH 5 凶天使襲来編
  評価点:65点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   表紙がまりあだぁ〜〜〜。でも俺久織氏のイラストはそれ程好きくないからどうでも良いやぁ〜(暴言)。
 まんずまんず。つまらなくはなかったんですが、手放しに面白いと評価できる程でもなく。淡々と面白かったって言うんですか?一気に爆発するような面白さに欠けていたんで、ちょっと消化不良気味でした。
 全体として、主要人物のそれぞれが、物語を通して変わろうと――どのような形でかは解かりませんが――しているターニング・ポイント的な場所に差し掛かろうとしている。その手前でちょっと一休みして閑話休題って感じかな。
 今回は息抜き的な「遊び」巻と思って読んだ方が良いかな?唯一の進展は、深見将利がどこにいるのかと、大女優・折原彩那の正体が意外な人物であった事が解かる事かな?いや、この二つはびっくりです――単に「突拍子も無かった」だけかもしれませんが(←良かれ悪しかれ、ね)――。

RUMBLE FISH 6 亡霊殲滅編 <上>
  評価点:50点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   ん〜〜。話の展開が遅いです。いや、悪くはないんですけどね。ただ、SRサバイブが中々開始されないなぁ〜〜と思って。7巻は亡霊殲滅編の下だろうから、SR開始は8巻からになりそうです。
 今巻の内容といえば、
1:瞳子がキャロラインに〇〇〇〇(平仮名で4文字)を奪われた。
2:由良まりあと沙樹がベッドの上で……
3:せきいつきと瞳子がラブホテルで……
4:競技場コート内に正体不明のRFが現われるようになった。
 ってくらいですかね。ってか、本編に直接関わりあるのは4なんですけど、如何せん幕間章の22頁だけしか進んでませんから……。三雲先生は物語を進めるつもりがあるのでしょうか?ああ、でも、亡霊RFに惨敗したJ班総代 島袋のキャラ、好きですよ。実際に身近にいたら辟易のあまり断崖絶壁から投げ落としたくなりますけど。
 あとは、え〜と。まりあ嬢の未来が明るい楽しい未来になって物語が終焉に向かうのか、それが気になる、と言ったところでしょうか?
 基本的に物語が進まなくて、幾人かのキャラクターのバックグラウンドに深味を与えようとする巻だった――有り体に言えば凶天使襲来編のような「遊び」巻だった、ってところですかね。

RUMBLE FISH 7 亡霊殲滅編 <下>
  評価点:40点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   霧の亡霊ミスティ・ファントムの正体があの人だったのは、意外ではありましたが面白くなかったですね。あと、ベゼリィのフェイタル・チャイルドの弱点って、結構モロ解かりな所でしたね。今まではてっきり「解かっていても戦騎手ライダーの技術的に無理」とか「Fチャイルドの隙間を狙うような小型の武器が無いから無理」とか、そんな理由で使われなかったのかァ……って思っていたのですけど。単に「誰も思いつかなかったから」なんですね。ちょっと幻滅。もう一つ、由良まりあは今後、(恵里谷の生徒として)登場する事はなくなるのかなぁ?と、ちょっと不安に怯えています。
 とまぁ、辛口な不満をのたまった直後ですが、個人的な今回の見所は、物語の最後の最後、ガンヒルダがカドゥケスをぶっぱなすシーン。目の前で壮絶なシーンが繰り広げられるような緊張感が走り抜ける圧倒的な臨場感がたまりません。そして、さらにその最後で、ガンヒルダを――沙樹を見詰める瞳子の姿……。か、可愛い……とか思いながら、最後を綺麗に締めてくれました。
 全体的なストーリーとしては、なんだか消化不良感が残っていたのですが、最後のカドゥケス掃射シーンがそれまでの不満を拭ってくれたかな?と言う、そんな塩梅の巻でした。
 ……次巻こそは、最初から最後まで楽しめる作品を期待します。

RUMBLE FISH 8 決戦前夜秘湯編
  評価点:60点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   全体を通して楽しめました。どこか山場がある面白さではなく、一つ一つが面白い、そんな「平坦な面白さ」であったので、読み終えた後は若干残念感が否めませんでしたけど、これはこれで充分面白かったです。
 とは言え、面白い心電図(?)がピョコンと撥ね上がるシーンは幾つかありました。由良 まりあが母親と会うシーン、ツチノコ追い掛け回すシーン、古宮 梨沙に胸揉まれる加藤 優妃のシーン、そして、軍事用RAID FRAMEであるX4駆って闘う、志村 瞳子 vs 林崎 要のトラップシーン。
 特に最後のvsシーンで、瞳子が要を追い詰めるシーンは、かなりの出来栄えだと思いました。しかし、どうしてここらへんのトラップ類を「ツチノコ」キーワードで思いついたのかが不明。
 そして、まりあが母親に会うシーン。彼女の心の蟠りであって母親との再開、その中で、彼女の中の重荷が外れてくれます。今後の彼女のふわふわした微笑みは、自分を隠すためでは無い、優しい微笑みとして描かれる事でしょう。うみゅ、よろしい(何が?)。
 さて、次巻こそはSRに突入してくれますよね、三雲先生?
 追記:所で、亡霊殲滅編 <上>P.139に書かれていた
   沙樹たちが、校内にいるまりあを見かけたのは、それが最後だった。
 は、結局どう言う事ですかねぇ?何度も校内で見掛けている気がしてならないんですが……?

RUMBLE FISH あんぷらぐど
  評価点:65点  刊:角川スニーカー文庫  著:三雲岳斗  絵:久織ちまき
   RUMBLE FISHの番外編短編集。短編6本です。では順番に。
 邂逅編不良ヤンキー主人公・沙樹とその仲間達が恵里谷闘騎技術専門校編入試験を受けた時の挿話エピソード。体育教師・雨宮が壊れていく姿が面白おかしく語られるお話です。物語ラストで、編入生諸子が沙樹の悪巧みに一言ずつアドバイスを送り、最後の涼のアドバイスに沙樹が昔ながらのVサインを返すシーンが妙に印象的。こう言う何気ない一場面って、偶に物凄く惹かれる時があります。
 納涼編:怪談話に肝を冷やし、肝試しで肝を試される瞳子の話(少し違う)。特に何が、と言う展開もオチも無いです。最後のオチも王道オーソドックスで読めましたし。まぁ、ヌルく読み流すには丁度良い挿話エピソードだと思います。
 哀愁編:志村 瞳子による真田 圭吾 &: 古宮 梨沙ラブラブカップル作成大作戦(死)。で、その作戦が色々と裏目る話。ですが、個人的にはそんな所より、短編出々しの関 斎の試合風景の方が面白かった。まぁ、ほんの数ページですが。これも流し読み作品ですな。
 旋風王女編:某国王女が抜け出して〜〜、なお話。王女のゲーセンでの逸話を最後のバトルシーンで巧く使った――つもりなんでしょうが、正直言うと何か「違う」と思った。何が?と問われると困るんですけどね……。個人的に、却って作品に「齟齬」が生まれたような気がして、評価が下がったりします。後は、そうですね……林崎 要が繰るクリムゾン・エッジが恰好良いと思う(絵的に、だが、イラストがでは無く、書き出される雰囲気とかが)。
 残像編:沙樹の元彼女モトカノのお話。すげぇ……それ以外書く事ねぇや……_||...
 志村瞳子のいちばん長い日:瞳子に対して他の人達がよそよそしい理由は、まぁ簡単に予想が付きました。が、どうも俺はこう言う展開が好きらしいと言う事が解かりました。最後に読み終えてから、なんだか微笑ましくて嬉しい気分になっている自分に気付いたからです。
 まぁ、そんな感じ。まぁ概ね「流し読み」作品ですが、流し読み作品としても、一つ一つが読み易く、ストーリー自体も(流し読み作品としては)質が高いと思います。そんな感じでしょうか?

【リムーブカース】
  評価点:40点  刊:電撃文庫  著:伊達将範  絵:しろー大野
   ツレから「これは面白い」と言われて読んだのだが。ヤツがそう言ってハズれた作品も珍しいと思う。
 上巻は初めから九割くらいはダラダラと続いていたけど、ラストのラストで「続きを読みたい!!」と思わせてくれた。が、下巻の中程で突然話が荒唐無稽な方向へ飛んでしまい、何だかなァ感を否めなくなる。結局、ツーポイント特佐の名前の由来は、初めに意味ありげに書き出しといたわりに出てこなかったし、D.I.Aと悟の繋がりが、今一ハッキリとしなくて途中で「ん〜〜?なんでこいつら仲良しなんだ?」とか思ったし。神の呪いが関係あるとは言え、天使の登場もなんだか無理矢理っぽくてイヤだったし。
 でも、サルトルとルジカシュナの運命の歯車の噛み合いの描き方とかは良くて、そこらへんは納得できた。

【リバーズエンド】
  評価点:55点  刊:電撃文庫  著:橋本紡  絵:高野音彦
   ん〜。ボチボチ。物語の2/3くらいまでが面白かった。拓己と唯のもどかしい関係とか、三匹の仔猫との触れ合いとか。でも、巻の最後の方はもう、別にどうと言う事も無く。
 物語は、まだ河口リバーズ・エンドに辿り着き、漸く海の始まりに立った所。物語はこの先にも続いて行きます。この巻の最初の2/3は、その果てしなく続く物語のプロローグに入る前の物語。物語のプロローグは、最後の1/3ですね。
 まぁ、続巻に期待、ってところですかね。でも、本音言うと拓己と唯の激甘恋物語として先を続けて欲しいなァ〜、とかも思っちゃうんですよね。無理だろうけど。

【リバーズエンド 2・3】
  評価点:70点  刊:電撃文庫  著:橋本紡  絵:高野音彦
   2「slash the heart」と3「free the birds」の二冊。何故この二冊を一つに纏めようと思ったかというと、ぶっ通して読んだのも理由の一つではありますが、それよりもこの二冊が似たようなコンセプトを元に綴られているような気がしたからです――飽く迄も気がしただけですが。馬鹿の戯言だとでも思って下さい。
 お話は前巻で町一つを滅ばした直後から始まる――正確にはちょっと番外編を挟んでいますが――。傷付き、一度は死んだのであろう唯は、組織の手によって植物状態ながらに生かされる事となった。生気を失った拓己はそれでも毎日のように唯を見舞っていたが、ある日彼は「スクール」と呼ばれる非日常をオブラートに包むためだけの日常の中に放り込まれた。
 で、物語はそのスクールの中の生活を描いているのですが、スクールには拓己を含めて全部で七人の少年少女が同じように暮らしていました。2・3巻は、拓己と六人の交流を描く作品として、一つに纏められていました。初めに言った「似たようなコンセプト」とは、この事を指しています。
 2巻第一話「子供たちの国 neverland」は、活力を根こそぎ奪い取られ、幽鬼のような状態にあった拓己と、六人のスクールメンバーの紹介、みたいなもんでしょうか。
 2巻第二話「きずつくいたみ slash the heart」では、自らを傷付ける事で自分が生きている事を確認できない弱い心の、それでも元気に明るく、他人を思いやる心を見失わない強い心の少女、紺野 七海。
 2巻第三話「静かな教室 I can hear you」では、叶わぬ片想いそれでも誇らしく前向きに毎日を送る少年・五島 孝弘と、その想いに応えられないまでも、それを優しく抱き包む少女・四方 弥生。
 2巻第四話「傷だらけの宝石 my little jewel」では血気盛んなヤンチャ坊主・二ノ宮 直人――親を誇りに思うあまり親を自慢し、その自慢話が基で家族がバラバラになってしまった少年。この時語られたある貧乏な少年の話は、「グッ」と来る物がありました。
 3巻第一話「心の中にあるもの less than zero」では植え付けられた記憶しか持たないTest Tube Baby・十條 遙から受け取った一輪の薔薇に、確かな「命の強さ」を感じ取る。
 3巻第二話「儀式 thinking about you」では幼馴染を見殺しにしてしまった後ろ暗さに送り火を行う八坂 茂。
 と、お話を通して彼らと時にぶつかり合い、時に解かり合い、そして七人が打ち解け合っていく様を描いているんですよ、旦那。
 で、3巻第三話「やさしい夜 heaven is a place on the earth」では、七人による肝試し大会。うん、読みながら確かに「夏の匂い」を嗅ぎ取れました。まぁ、今(2002/10/18)は冬も間近ですが(笑)。
 とまぁ、ここまでは時にほんわか時に憂鬱に、いい按配の「心のストーリー」だったんですが、3巻ラストで拓己達はワケの解からない場所(火星か?)に飛ばされてワケの解からない生命体(物体?)に襲われてと、SFチックな展開に。
 まぁ、これからが漸く物語の本格始動なのでしょう。以下続巻に期待。って、前巻と同じ引き方かい。

【竜の棲む湖 プロドローメス――天狼星の風
  評価点:45点  刊:集英社スーパーダッシュ文庫  著:野崎透  絵:KIRIN
   あ〜、な〜んか今一でした。文章の構成自体はまぁ、俺の好きな部類なんですが、ストーリーその物に今一「押し出す」部分が足りなかった。山場があったような無かったような、微妙なストーリー構成なんだよね。恐らくは続編が出るのでしょうが、この先の展開がどうなろうと知ったこっちゃねェって感じで投げ出せる。それでも、キャラクター達はそれなりに生きている所も見受けられた。
 先にも述べたように文章の作り方自体は俺的には評価しているんで、もしも続編が出るのなら、小説として一番の面白みであるストーリーの方にもっと腰を入れて書いて欲しいです。

【レベリオン 放課後の殺戮者
  評価点:90点  刊:電撃文庫  著:三雲岳斗  絵:椋本夏夜
   久し振りに読み応えのある作品だった。「レベリオン」の特殊な能力については、最早この手のファンタジー界では当たり前感があり、敵の能力も大体予想がつく物だったし、個人的に「存在する事それ自体が超常的な能力に科学的解釈をいれる」と言うのが嫌いな俺にはちょっと不満はあったが、ストーリーはGOOD!!読んでいて自分の小説の稚拙さが浮き彫りになるようで悲しいくらいです。
 一生懸命背伸びする香澄の健気さ。苦痛の過去を持ちながらそれに負けないで大事な日常を勝ち取った草薙萌恵の強さと優しさ。不確かな未来に弱音を吐いた杉原悠。少しずつ成長する恭介。何気に出番が少ないながらも、懸命に完璧な姉を演じ切った緋村杏子。一人一人の性格わけとキャラクターがはっきりとしていて、どこか等身大な高校生の日常に非日常を加味させたその手法は、本当、感涙物です。厚さに見劣りしない内容の濃さに大満足。もう一度言います。この作品は、最高です。
 最期に。イラストレーターの椋本夏夜さんの挿絵が少なかったのが不満でした。繊細なあのイラストが、作品のイメージにせっかくマッチしてるのに……。
_/_/_/_/ キャラクターランキング _/_/_/_/
1.緋村杏子
2.杉原悠
3.秋篠香澄
4.草薙萌恵
5.緋村恭介
_/_/_/_/ 心に残った名台詞 _/_/_/_/
秋篠香澄
 「殺戮にしか使えない能力が進化だなんて、あたしは認めない」
緋村杏子
 「恭介の見てる前で弱音を吐くわけにはいかないものね……けっこうツライのよ。
  パーフェクトな姉を演じるのもね……」
草薙萌恵
 「復讐だったの。頑張って幸せになろうと思ったの。
  それがあたしをいじめた人達の復讐になるって」
杉並悠
 「恭介……すまない……僕はやり直せるほど強くない……」
緋村恭介
 「してやるよ!そんなの何度だってしてやるから、弱気な事言ってんじゃねえ!
  あきらめるなっ!!」

【レベリオン 弑殺校庭園
  評価点:70点  刊:電撃文庫  著:三雲岳斗  絵:椋本夏夜
   ん〜〜……。ちょっと消化不良気味。三雲岳斗様本人も、後書きにて「放課後の殺戮者とは少々毛色の違う作品」だと断言しておりましたが、正にその通り。登場人物が同じ、と言うだけで、作品のコンセプトが違うと思った。それが理由かな?なんだか、放課後の殺戮者ほど、面白いとは思えなかった。それでも、70点だから、俺的に充分及第点ではあるけどね。
 この作品でも、やはり出番の少ない主人公・緋村恭介の姉、緋村杏子が良い味出してる。多分、この作品で一番好きなキャラクターだと思う。杏子がレベリオン化したら、咄嗟の洞察力と言い、強靭な精神力と言い、きっと最強のレベリオンになるだろう。もしもそうなったら、きっと逆に興醒めするだろうけど。
 主人公・緋村恭介と、ヒロイン・秋篠香澄よりも、準ヒロイン的な位置付け(多分、作者的見解から見れば、彼女もヒロインなのだろうけど)草薙萌恵の芯の強さと優しさを際立たせる為、と言った感の強い作品だったと思う。彼女の株は、これで随分上がっただろう。俺的には、前作の時点で結構高いが。

【レベリオン 炎を背負う少年たち
  評価点:70点  刊:電撃文庫  著:三雲岳斗  絵:椋本夏夜
   杏子姉さんの活躍が少なかった〜〜。のだけが理由では決して無いのですが。う〜ん。いまいち。とか言いながら採点70点だからかなり高得点なんですけど。ただ、「過去の作品と比べると見劣りする」って意味で。
 どうしてなのかなァ?ちょっと理由を考えてみると、もしかしたら放課後の殺戮者で惹かれた「等身大の日常に加味された非日常」って所から「等身大の日常」が少なくなって「どこにでもあるファンタジー」に成り下がった感が否めないからかな?まァ、それならそれで、今後はそう言う方向で愉しみたいと思います。
 今回、ちょっと気に入った事。ARES SYSTEMのヴァリッジ。「なぜなら、自分は殺す側の人間だから」――歪んだ妄想と虚しいまでの自尊心。ほんの十数ページの出番しかなかったのに、そう言う駄目人間さを存分に発揮してくれて良かった。こう言う細かな書き込みが三雲先生の素晴らしさだと思う。
 あと、後書きと某所で語られている事ですが、最終的に恭介は香澄か萌絵か、どっちとくっ付くんだろう?個人的には萌絵とくっ付いてくれた方が良いと思う。萌絵との方がお似合いに思えるって言うのも理由の1つだけど、香澄とくっ付かれると「主人公とヒロインだからくっ付いた」と言う感がどうしても拭い切れなくて。だからと言って萌絵とくっ付くと、香澄がかなり可愛そうな立場に立つんですケドね……。
 今後の見所がARES SYSTEMの当て馬っぷりだと勝手思っています。
PS:強さのインフレーション現象は、基本的に駄作への下り坂一歩手前だと思うんで止めて欲しいですね。今回愚痴多い?

【レベリオン 彼女のいない教室
  評価点:75点  刊:電撃文庫  著:三雲岳斗  絵:椋本夏夜
   物語も佳境に入り、トランスジェニック能力にパワーアップを果たした恭介と香澄。Heroic Fantasyの王道ですな。いや、そう言う展開って結構好きなんですが。それと、英雄冒険譚ヒロイック・ファンタジーでは無いんですが。
 今回、物語が激動します。杏子姉さんも裏方でだけど大活躍です。紫焔ツィイェン翁さんが良い味出してます(イラストもか〜な〜り渋くって満足です)。
 さてさて、「彼女のいない教室」での注目キャラクターは誰でしょうか?杏子姉さんは常に注目キャラなので一先ず除外。では、娘の為に東奔西走する高崗陸也か?自分が愛した女性の娘の為に命を削ったアーレン・ヴィストールか?未だに今一目的の掴めない秋篠真澄美か?狂的なシスコン姐さんエウレリア・ハダレイン少佐か?女子高生レベリオン皆瀬梨夏か?助平爺さん紫焔か?妙に格好の良い登場したリチャード・ロウか?いやいやいやいやいや、それは違う。では、緋村恭介?秋篠香澄?草薙萌絵?それとも、複数のトランスジェニック能力を持つキーパーソン、Y?
 いやいや、俺的にはそのどれもが注目キャラには値しません。今回俺が注目したいのは、恭介の友人・市ノ瀬潤。いやぁ、彼、良い人ですよ?アレスシステムから梨夏を守る為に負傷しながらも、梨夏に「俺が、あいつの気を引きつけるから、その間に恭介を助けてやってくれ。おまえも、あいつと同じ力を持ってるんだろ?」と、全てを知った上で恭介の身を案じてやれる。思わず恭介に「こ〜の果報者〜」って突っ込み入れちゃいましたよ。
 う〜ん、この巻で一番の見所は潤だと思ってしまうあたりで、何だか違うような気がする。あと、アレスシステムがあまり当て馬っぽくなくてちょっと残念。
 何だかあまり書く事ありませんでしたけど、いつも通り本の厚さに見劣りしない読後満足感がありまして良い感じでした。

【レベリオン 楽園に紅き翼の詩を
  評価点:75点  刊:電撃文庫  著:三雲岳斗  絵:椋本夏夜
   レベリオン完結編。俺みたいなヤツが、ここで偉そうに語るのもどうかと思いますが、胸の奥でしんみりと来る、切なさと喜びを同時に味わえるラストでした。
 自分のいるべき場所を見付けた緋村恭介、大切な物を手に入れた秋篠香澄、強く気丈で優しいままな草薙萌絵。
 秋篠真澄美の真の目的、ユルキナ・ハダレインの孤独、当初とは違う「闘う事の意味」の中で散った高岡陸也。
 生きて未来を紡ぐ者も、命を賭して散った者も、好きになれたキャラクターも、胸糞悪いキャラクターも、一つの物語の中で立派に「生きて」いました。本当に、感無量です。
 でも何よりも、今回の見所は緋村杏子姉さんの大活躍!!いや、本当に大活躍ですよ。読めば解かりますが。兎にも角にも俺はそれが一番嬉しいです。
 さて、炎を背負う少年たちで疑問に浮かんだ恭介と香澄と萌絵の関係は、結局落ち着く所で落ち着きました。う〜ん、恭介君の果報者。萌絵との仲は残念だったけど、香澄がいるから良かったじゃない――って、まるで香澄が「キープ」みたいに聴こえるなァ。実際の所、どうなんだろうね?萌絵が恭介の事を「愛してる」とか言ったら、恭介はどっちに傾いたつもりだったのだろう……ちょっといやぁな事考える俺。
 あと、Y。彼女は「天使のいるべき場所」に帰ったらしいですが、それは両親の下なのでしょうか?だとしたら……若い美空で、何だか「それで本当に彼女は幸せだったのか」、とかも考えちゃうな。ああ、ラストが妙にしんみりと感じたのは、そう言った「寂しさ」があったからなんだなァと、ちょっと考えました。
 まぁ……苦しい戦いに生き残る事が出来た少年・少女には、誰にも負けない心の強さがあるはずです。きっと、幸せになるのでしょうね。グダグダ文句言わずとも、今はそれで善しとしましょうや。

Level6怪物モンスター Monster of Level 6
  評価点:40点  刊:角川スニーカー文庫  著:白石かおる  絵:やまさきもへじ
   久し振りにライト・ファンタジーに出会えた――そんな感じの「懐かしい」作品でした。悪く言うなら「古臭い」作品ですね。イラストも同様。で、そう言うライトなノリが好きな人には好かれると思います。文体も柔らかく取っ付き易くて良かった。でも、ストーリーにもう一捻り欲しかったですね。舞台設定も有り触れた二番煎じだったし。
 本文。物語は50年後の地球。舞台は某県某市。インターネット上を生身の感覚で行き来できるような技術の発達した時代。主人公のアユミは "ゲーム" と呼ばれる大会の本選出場を決めた。その出場パスワードを手に入れて、それを使ってサーチエンジンで検索をしてみると、偶然に着いた先は通称 "レベル6" と呼ばれる国家機密レベルのストレージだった……。
 と始まるのだが。まずここで「そんな重要な情報をネット上に置くな」と俺は思った。本文でもそれ以上に重要な「レベル7」は物理的に隔離されているから大丈夫、みたいな事が書かれていたが、どっちにしても「場合によってはハッカーを『物理的に処理』する事もありうる」ような物騒な代物、ネット上に置くか?縦しんば置いたとして、(いくら天文学的確率ででしか引っ掛からないと言う設定だからと言って)サーチエンジンに引っ掛かるような所に置くか?機密ダダ洩れジャン。設定に無理があるぞ?
 もう一つストーリーに直接関係無いけど、50年後にもシビックは走っているのか?勿論、マイナーチェンジを繰り返しながら生き残ると言う可能性は無きにしもあらずだが、恐らくモデルチェンジされて名前が変わって「シビック」としては生き残っていないと思われる。ま、これは重箱の隅突付きなんで如何でも良いんですが。
 取り敢えず言いたいのは、設定が稚拙だ。
 それでもまァ、暇を潰す程度の価値はあると思えました。最後のアユミとモランの言い合いは結構好きだったし。

【レンテンローズ】
  評価点:60点  刊:富士見ミステリー文庫  著:太田忠司  絵:天広直人
   そこに、そんな花屋はあっただろうか?柔和な笑みの似合う青年ノブと巨鳥サムが居る花屋 <レンテンローズ> に足を踏み入れた少年少女の心の闇に、狩人アンカサスの鎌刃が迫る……
 ミステリー作品ですけど、別にミステリーは取り立てる程に面白くなかったです。筆者自身は「満を持して」って勢いの事をあとがきに書いてらっしゃいましたけどね。俺としては「ミステリーを読む」と言うよりも「人間関係」を読んでいる方が面白かったです。ですから、本気でミステリーを期待してらっしゃる人にはちょっと不満が残る作品かもしれませんね。
 それぞれ独立した二作品『レンテンローズ』『裁く十字架』から構成された一冊。レンテンローズの方は特に文句はありません。でも、裁く十字架の方はもう少し煮詰めるか、切り詰めても良かったかもしれません。ミユキだって、別にレギュラー入りさせる必要性を感じませんでしたし。
 まぁ、それなりに楽しめました。って按配ですね。

【ロードス島伝説5 至高神の聖女
  評価点:70点  刊:角川スニーカー文庫  著:水野良  絵:山田章博
   〃栄光の勇者〃の異名を持つスカード王子・ナシェル死後の魔神戦争を描いた、魔神戦争終局巻。主人公のナシェルが死んでしまったんで、主人公は〃至高神ファリスの聖女〃ことフラウスに移行。
 聖女として百の勇者の行軍に同行しながらも、愛する男の腕に抱かれて最期を迎えたある意味で幸せな女性。ロードス島戦記では何の出番もなかったんで俺的には注目のキャラじゃなかったんですがね。流石は巨匠・水野良。彼女を最期まで美しく描き上げなさいました。エピローグでは、魔神に身を落とそうとした暗黒皇帝ベルドを救けたりと、今でも元気に生きて(?)いるご様子です。
 まぁ個人的には、フラウスよりも双子の王子の事の顛末の方が気になるのですが……。まぁ、恐らくは敢え無い最期となったんでしょうね。
 で、魔神戦争の物語の後、おまけ作品がありました。フラウスがまだ聖女と呼ばれる前のお話と、聖女フラウス&ファーン卿が狂王の義理の息子ミノタウロスを退治しに行くお話。ミノタウロス退治の方は、オドネルの人生に同情を誘われます……。
 非常に面白かったですが「水野作品でした」と言う以上の感想は特に無く。

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