Frame ON

Hyper Hybrid Organization 01-01 運命の日
  評価点:90点  刊:電撃文庫  著:高畑京一郎  絵:相川有
   先ず初めに。カバーイラストを見て思った事。「あ、草薙京だ。二十歳越えても学ラン着てた留年男だ。良い年こいて『くらえ〜!』とか叫ぶアンちゃんだ」。はい、どうでも良いですね。本題。
 舞台は、仮面ライダーに代表される、正義のヒーローと改造人間が登場する現代社会(もしくは、それより10年弱程度未来)で、その変則バージョン。
 主人公は城南大学大学院に通う青年・山口貴久。彼には、高校時代から付き合いがある可愛い彼女・緑川百合子がいた。どこにでもいる、どこにでもある一般市民ののどかな幸せを、彼は――ある日、突然奪われた。
 悪の秘密結社としてマスコミに取り沙汰される『黒い覆面集団ユニコ−ン』が有する改造人間ハイブリッド・南雲と、ガーディアンと呼ばれる孤独な軍隊ワンマン・アーミー正義のヒーローハイブリッド・藤岡の闘いに巻き込まれ、百合子が殺されてしまった。
 貴久は許せなかった。目の前で百合子を死なせてしまった自分を。無関係な一般市民ゆりこの命を無惨にも奪い去った混成されし者ハイブリッドを。だから、彼は望んだ。ハイブリッドを殺害する事が可能な力ハイブリッドになることを……。
 その望みを叶える為、貴久は『ユニコーン』の側に付く決意を固めた。ユニコーンは、警察と世論が、きっと潰滅してくれる。しかし、ガーディアンを叩き潰すさばく権利があるのは、貴久だけだったから……。
 これは、自分勝手で、我が侭で、独り善がりな闘いだと知りつつも、それ以外で自分を保てない、愚かな男の闘いの話。そして、それはまだ始まったばかりなのだ……。
 と、珍しく物語の粗筋を語ってしまった。これは燃える!まだまだ物語序章にしか過ぎないと言うのに、この復讐の物語に魅入られ、引き込まれてしまっています。こうれはもう、読むしかないでしょう!

Hyper Hybrid Organization 01-02 突破
  評価点:60点  刊:電撃文庫  著:高畑京一郎  絵:相川有
   まず始めに一言。女は出てきません。ひたすら男のみでストーリーが進みます。まぁ、運命の日からして男の魂を乗せた作品だったから、読んでいて何の違和感も感じませんでしたが。こう言うのって、やっぱり良いですよね。熱くなれて。
 面白かったんですが、静かに燻るように燃える感じで、軽く消化不良。まぁ、あとがき読んだ限りでは「長くなったんで切りました」みたいな構成だったらしいし、仕方が無いと言えば仕方が無い。続巻で魂の髄まで燃え上がるれる事を期待しましょう。
 貴久がどうやって『ユニコーン』の中で這い上がって行くのか。見物です。

【バトル・ホームズ 誰が為に名探偵は戦う
  評価点:40点  刊:集英社スーパーダッシュ文庫  著:梶研吾  絵:浅田弘幸
   まず初めに、「探偵物と思って買って裏切られた人は一人や二人ではないはずだ」。主人公はシャーロック・ホームズ。そう聞いたら、まァ普通はそう思うわな。ファンなら飛び付くだろう(もしくは「日本人にあの名作を再現出来る物か」とハナから手にも取らないか)。しかし、蓋を開ければがっかりだろうな。かく言う俺は別にシャーロック・ホームズのファンでもなく特に推理的な作品である事を期待していたわけでもなく「格闘アクション」の方に期待していただけだったから、そう言う意味では不満は無かった。
 しかし、俺はやっぱりがっかりだった。多くの格闘技が無国籍に入り乱れる大立ち回りを期待していたのに、出て来たのは柔術をメインにボクシングと中国拳法。期待外れだった。
 同時に、初めに書いたように探偵作品としての魅力は無かった。ただ淡々と事実を追うようにして物語が展開して、「謎が謎を呼ぶ」事も無ければホームズの頭の切れが遺憾なく発揮されたわけでもない。これじゃァ「探偵」としても魅力も「格闘」としても魅力も無いよ、ダンナ……。
 でも、後書が面白かった。筆者のエンターテイメントに対する熱い語り<ハイブリットロマン宣言>はエンターテイナー(小説家、漫画家、映画監督etc.etc...)を目指す人なら一読するべし。思わずウンウンと頷いてしまいますよ。でもね、梶さん……内容が伴ってませんよ……。
 最後に。内容は兎も角、一度読めば苦も無く最後まで読む事のできる文体の素直さには素直に賞賛を贈りたい。次回作は期待させてもらいます(出れば、だけどね)。

【ビートのディシプリン SIDE1
  評価点:80点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   ブギーポップの……外伝?世界はブギーポップなんですが、今回はブギーポップが登場しません。〃世界の危機〃とは全く無関係なこの厳しい試練ディシプリンに、彼の死神ブギーポップの出る幕は無いのだから。
 今回は統和機構の合成人間、世良稔ことピート・ビートのあるディシプリンについての語り。過去のブギーポップ作品が要所要所で絡み合い、しかしそこに矛盾は無い。相変わらず上遠野さんは物語の構成が上手です。羨ましい
 この巻では「謎」だけを多く残して「to be continued...」って感じでした。まぁ、SIDE1って事はSIDE2が出るんでしょうから、続きに期待しながら、感想の方へ。
 まず今回の見所として、個人的にはラウンダバウトの廻りくどい闘い方だと思う。正直、あれは「能力者」の闘い方じゃ無いと思う。いや、愚痴っているわけではなく、感心しているんですが。「人生に付き纏うほんの僅かな緊張を "停止" させ、第三者を使って非強制的に目標を攻撃させる」。読んでないと、何の事だか解からないでしょう。気になる方は読みましょう。
 で、今後の個人的焦点はモーニング・グローリーの成長よりも、カーメンの存在よりも、ピート・ビートがフォルテッシモと渡り合う事が出来るようになるかどうかだと思うのですが。どうでしょうか?
 うう……相変わらずブギーポップシリーズは万遍無く面白いせいか、書評として書く時に何処に焦点を置いて良いのか困る……。

【ビートのディシプリン SIDE2
  評価点:80点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   今巻はブギーポップが登場。但し、ビート君には直接的な関わりは無く、ほんのチョイ役でしたが。
 今巻の見所は、なんと言っても <ダイアモンズ> 所属の "人間戦闘兵器" ことジィド君。強ぇ!合成人間でもMPLSでも無いただの人間が合成人間集団 "バーゲン・ワーゲン" "ゲルペ" "グリュン" を一人で屠りましたからねェ。しかも、範馬勇次郎ばりの絶対的な戦闘力を持つワケではなく、戦術を駆使しての頭脳プレーで。こう言う戦い方って大好きです。
 あとは、そうですね。細切れにしてしまう者ザ・ミンサーとピート・ビート。両者の過去ですかね。ザ・ミンサーがああ言う風にして世界の敵となるとは、ちょっと予想の範疇から越えていました。所で、ドライブしていたあの女性は、本当にザ・ミンサーなのでしょうか?だとしたら、彼と彼女は出会う事はあるのでしょうか?そう言った興味深々な謎を残したまま、次巻へ続く。
_/_/_/_/ 心に残った台詞達 _/_/_/_/
(今、この状態でそのまま死ねたら良かったのに……) By ザ・ミンサー
(おまえって真面目なことを言おうとすればするほど支離滅裂になるよなー、実際) By 上遠野 浩平

【ピカレスク・ドライブ 真夜中の無法者ギャングスター
  評価点:55点  刊:角川スニーカー文庫  著:中川圭士  絵:一日郎
   世界一の義賊を目指すブロウと、その相棒エンリオが活躍する、どことなく「ルパン三世」を思わせる作品。いや、作風やら世界観やらストーリーやらは全く違いますよ。ただ、「何となくそう思った」だけです。
 で、内容はどうかと言いますと……。まァ、こんなモンかな。主人公の熱血少年ブロウが頭脳系担当で相棒のクールなエンリオが肉体系担当と言うのはちょっと新鮮だったけど、他は特に突出した物があるワケでもなかった。ストーリーは追って読めば大体先が読める展開だったしね。ストーリーの目玉であろう、空石の使い道なんて、あれ程明確に予想が立てれたのも珍しいと思ったモンね(基本的に展開の先を読むのは苦手)。
 でも、読み易くはあった。テンポが軽快で、通学の往来の時間潰しには丁度良い按配だと思う。気が向いたら読んでみても良いんじゃないですかね?

【ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド
  評価点:85点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   やっぱ、ブギーポップは良いよ。本《ハートレス・レッド》で早10作目。たっぷり堪能して下さい。
 作品のジャンルとしては、一括りにすればファンタジー。細分化すれば微妙に超能力モノに入るのだろう。ただ、世間に氾濫する超能力モノと一線を隔するモノがあるとすれば、それは恐らく、その「能力」だろう。
 普通、超能力と聞くと何を想像するだろう?恐らくは「テレパシー」「サイコキネシス」と言ったいわゆるESPPKなどを筆頭に、最近では「発火能力」「冷凍能力」「ヒーリング」やそれに類似する、直感的に解かり易く、非常に使い勝手が良い能力を想像すると思う。しかし、このブギーポップは違う。何と言うのか、非常に曖昧な「心」に作用する能力が多く現れる。例えば、同シリーズ《ペパーミントの魔術師(←シリーズで一番好き)》では『心の傷と一体化する』とか、本作では《心に鍵を掛ける(←実は……)》とか。そう言った、「何処か抽象的で、非常に理解し難い、心を取り巻く」力なのだ。それが、見ていて非常に面白い(それ以外の、いわゆる「普通な」超能力も多いが)。
 また、同シリーズの他作とのリンクも実に緻密で、前の作品を読んでいれば尚面白い、続きの作品で面白みが増すと言った事もしばしば。だが同時に、「あれ?こいつ誰だっけ?どっかで出てきたんだけどなァ……」って事もしばしば。そんなワケで、九連内朱巳って、誰だったっけ?〃スクイーズ〃は?覚えてないなァ。どっかで出てきたはずなんだけど……。
 ブギーポップ全体の簡単な魅力はここら辺にして。この作品では、霧間凪の『炎の魔女』の名の由来が登場します。なる程、彼女らしい。カッコイイ。多重安全装置フェイルセイフの能力もやはり何処か非凡で、結構ドキドキしました。主人公のクセに出番の少ないブギーポップも、不気味で未だその正体を見せず、興味深い。電撃文庫は、こう言った名作を多く生むから好きだ。
PS:書評として、明らかに論点ずれてンなァ。今更だけど……(2001/02/20現在)
_/_/_/_/ 心に残った台詞達 _/_/_/_/
ブギーポップ Boogie-Pop
 「君にはまったく〃自動的〃なところなどない。
  すべてが自分の意思によって、まっすぐに決定されている。
  不気味なぼくとは正反対だね」
霧間凪 Nagi-Kirima
 「……なァにが〃傷物の赤〃だ!
  そんなものはオレの怒りで焼き尽くしてやる!
  おまえがそうなら、それならば――オレは
  〃炎の魔女〃だ!」
 「――このままで、お前を放り出したりはしないからな!
  絶望だか苦悩だかなんだか知らないが、そんなものに逃げ込ませてやるものか!」
九連内朱巳 Akemi-Kurenai
 「嘘をつくなら、さ――最期までつき通さなきゃ――そうでしょう?」
上遠野浩平 Kohei-Kadono
 (――気持ちってのは本当、厄介だよな……)
 (ヒトなんだから、まあいいじゃん)

【ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト
  評価点:75点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   ブギーポップシリーズ第11作。今回はあまり能力者が活躍しなかったけど、それでも面白い。メインの敵役の宇治木貢は、とっても小物らしさを見せ付けてくれて良かった。
 今回のストーリーのメインは「ホーリィ &: ゴースト」こと結城玲治 &: 濱田聖子。この御二人、ただの少年少女。この二人がフとした――それこそ、運命の悪戯と結城の「何となく」の産物から産まれた「フ」とした切っ掛けだ――で出会い、スリム・シェイプと名乗る包帯まみれのCGイタチと出会う。そして、スリム・シェイプからの指示に従って、色々と悪事を働くのだが……。
 相変わらず、ブギーポップは粗筋書きが難しいので、語るのパス(←書評として書く以上、明らかに間違った考え方だ)。兎に角読む事をお勧めします。何でも無い自分とどう折り合いをつけて行くのか。そんな少年の心の葛藤を、最後まで堪能して行って下さい。

【ブギーポップ・スタッカート ジンクスショップへようこそ
  評価点:80点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   今回は霧間凪の登場が無かった。残念。――実は霧間が好きです。
 「ジンクスを売る」。その店は、とても奇妙な店だった。この石を持っていると幸せになれる。この鉛筆で想いを綴ると願いが叶う。そう言った類の「ジンクスが宿る物」を売るのではなく、ジンクスそのものを売るジンクスショップ。"オキシジェン" こと柊と、オーナー不二子が営むそのジンクスショップに訪れた四人の能力者達の物語は、複雑に絡み合うではなく、時折擦れ違いながら全く異なる結末を迎えた。
 相も変わらず取り止めが無く、ただ現実と言う不条理が流れていく。一体作中で何を言いたかったのかが全然解からないくせに、その世界に引き込まれる。上遠野さんの作品は、そんな独特な味があります。粗筋を語るには、どこが重要でどこが不必要なのかの選別が非情に難しく、どこを削っても粗筋として成り立たず、そのクセどこを書き繋いでも物語として破綻しそうなので、どんな話だったか粗筋を書く事を控えさせていただきます。いやぁ、長々とした言い訳だ。
 ただ、今回俺が注目したい能力者は非常識な避難所ギミー・シェルター恥顔シェイム・フェイス。二人ともその能力が、ではなく人間性が。ギミー・シェルターは極めて自己中心的で人間として破綻している所が。シェイム・フェイスはサムライな心が。
 まぁ、ブギーポップに関しては「面白い。読みなさい」くらいしか言えないです。語るの難しいし〜〜(開き直り)。

【ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド
  評価点:60点  刊:電撃文庫  著:上遠野浩平  絵:緒方剛志
   何年ぶりになるのかなぁ……。ブギーポップの新刊です。まぁ、ブギーポップの書評を久し振りに書く(スタッカート以降の2作品のレビュー書いてないのがその物証〜〜〜♪)俺に言えた義理でも無いでしょうが。
 今回の見所は二つ。一つは、生きていたんだ、スプーキー・Eエレクトリック。そう言えば、死んだ描写は無かったような気がする。
 そして、もう一つが、最も強くフォルテッシモに恋する乙女、メロー・イエロー。身も心も幼い少女が無理に粋がって背伸びするようなその健気さに萌えます。
 全体としては、いつものように取り留めも無く、しかしどこか深く考えさせられる語り口調で淡々と物語が進み、そして、最後の最後でただどうしようもなく物語が完結しています。
 しかし――いつものように、ブギーポップは不気味な泡ブギーポップの名の通り地味なのに、格好良いなぁ……。

【ぶたぶた】
  評価点:85点  刊:徳間デュアル文庫  著:矢崎存美  絵:<CG>杉山摂朗
   読後に抱いた感想は、「ぶたぶた欲しい〜〜!!」
 物語は、ピンクのぶたのヌイグルミ「山崎ぶたぶた」が、ベビーシッターや玩具屋の店員やフレンチの料理長や刑事を演じながら、色々な人々と触れ合い、持ち前の「優しさ」と「安心感」で、触れ合った人々の心の蟠りを解消していく、究極の癒し系ノベル。短編形式で読み易く、日本の社会に馴染みきっているぶたぶたをシュールに描かれている。ぶたのヌイグルミのくせに妙に人間味豊かなぶたぶたは、読んでいて心が癒されます。
 って言うか、バレーボールくらいの大きさのブタのヌイグルミがタクシーの運転手を出来るか?!パンヤが詰まったぶたのヌイグルミが炎を扱う料理人を出来るか?!何でぶたのヌイグルミが美人の奥さん娶っているんだ?!そんな疑問も吹き飛ばす程ほのぼのと温かいお話を、是非とも皆さんも味わって下さい。
_/_/_/_/ エピソードランキング _/_/_/_/
1. 追う者、追われる者  笑えました。
2. 最高の贈り物     ほのぼのしました。
3. 殺され屋       少し、優しく成れました。
4. ただいま       ほんのりテイストの喜びです。
5. 桜色を探しに     本作に収録されている作品を振り返れます。

【ぶたぶたの休日】
  評価点:65点  刊:徳間デュアル文庫  著:矢崎存美  絵:<CG>杉山摂朗
   ぶたぶたシリーズ第2弾(正確には刑事ぶたぶたが第2弾らしいけど、徳間デュアル文庫からは先にぶたぶたの休日が発刊された)。
 面白かったんですが、ぶたぶたに比べると少々見劣りする感がある。でも、妙に生活臭いぶたぶたを見れて、とっても優しい気持ちになれる当たり、「やっぱりぶたぶただな」って作品です。

BLUE RAINBOW
  評価点:60点  刊:集英社スーパーダッシュ文庫  著:丘野ゆうじ  絵:齋藤卓也
   丘野ゆうじさん、どこかで聞いた事ある名前だと思って書評を書く前にちょっとネット検索。ああ、そうそう、『こちらエルフ探偵社』を書いていた方だ。所で、丘野ゆうじさんと岡崎武士氏の存在が、記憶の中でこんがらがるのは何故でしょう?どうでも良いんですが。
 内容はまぁ、まんずまんず。それなりに、ってヤツですね。まぁ、まだ物語の取っ掛かりみたいだし、今後の展開次第かな。
 物語は、エッチな体したトレジャー・ハンターの少女ネルと、『青い虹』を探している謎に包まれた青年ジャスティン・Rのドタバタ騒動劇。最後のオチもそれ程インパクトある物でもなかったし、まぁ「こんなモンかな」って感じですね。ただ一つ意外だったのは、てっきり狂人だと先入観持ってたモスクィートが、何気に人間臭かった事かな。うん、あれはあれで――ヴィジュアル的には美しくないけど、アリかな?って思えた。
 ネルの貞操が何度か危機に陥っていたのは、丘野さんの趣味だろうか(笑)。

BLUE RAINBOW
  評価点:50点  刊:集英社スーパーダッシュ文庫  著:丘野ゆうじ  絵:齋藤卓也
   あ〜、まんずまんず。暇つぶし程度にはもってこいかな?
 特に「コレだ!」と言う点は無かったんですが、読み易かったです。でも、ジャスティンのバトルシーンは、あまり宜しく無かったですね。
 トレジャー・ハンターのネルと行動を共にするジャスティンは、かつての戦友エイクスと再会。エイクスはその偶然を祝して、ジャスティンに仕事を持ち掛ける。今は大学の研究室で働いていると言うエイクスからの仕事とは、遺跡の探索であった。
 遺跡に向かったジャスティン、ネル、エイクスとその妻ジョディ、雇われ高速艇操舵手アンリ。五人に襲い掛かるのは、遺跡を守るガーディアンではなく、パワードスーツの軍隊だった。
 って感じです。その軍隊は『神殿』の関連機関らしく、ここで手に入れた情報を手掛かりに、ジャスティンとネルは、ライヒスバーグへと向かう事になった、で2巻は終わり。物凄く間を端折ってますが、まぁ、これだけですね。こうやって書くと、面白くも何ともなさそうなのが、微妙に笑える。でもフォローはしません。フォローするほどでもないんで。
 所で、登場人物紹介のエイクスの項。「ジャスティンのかつての戦友だが……」って、「……」って書くな!「絶対こいつ何か企んでる!」って、作品読む前からバレるじゃねぇか!登場人物紹介書いたヤツぁ能無しか?!

【放課後退魔録 ロストガール
  評価点:40点  刊:角川スニーカー文庫  著:岡本賢一  絵:黒星紅白
   う〜ん……ボチボチ。暇な時間の時間潰し程度の作品。何て言うのか、妖怪物に付け加えた中途半端なSF要素が舞台を見事に台無しにしてくれている。SF的要素と言っても、物凄く比率的にには少ないんですよ?しかし、だからこそ「要らん」のですね。妖魔術クラブ部長・九堂よしえが実はサイボーグだった……サイボーグである必然性も利用価値も全く無いじゃん。対妖魔用兵器とかって、妖魔を倒す為に出て来た割にその存在意義がいまいち良く解からなかった。
 それらを含めて、中途半端なSF要素が、舞台を完全にブチ壊してくれてます。ま、それが無くってもあまり面白い展開ではなかったけどね。ラストで彩音寺夏芽が少し可哀想だったのが、ある意味で切なさを漂わせてくれました。
 続編が出る予定なようなので、加味されたSF要素をもっと生かして欲しいと思います。

【僕の推理とあの子の理屈】
  評価点:30点  刊:角川スニーカー文庫  著:村瀬継弥  絵:美樹本晴彦
   ファンタジー要素は皆無でした。推理物です。然して面白い作品ではありませんでした。
 正月の三箇日、昼夜を逆転して先祖を迎え奉ると言う奇妙な風習が残る二木平村。「平和」をそのまま人の集まりとして形に成したようなその二木平村の恵岩堂けいがんどう内で起きた殺人事件。被害者は水沢、殺人当時に彼と一緒に恵岩堂で番をしていた川藤が手に絞首に使った縄を手に持っていた。警察側の見解では、殺人前科で脛に傷を持つ川藤が状況的にも犯人だとらしい。だが村人達はその警察側の見解を信じる事が出来ず、皆が皆口を揃えて「川藤が犯人だと状況証拠は言う。だが、彼がそんな事をするような人間だとは思えない」と言う。
 物語は川藤の無実を証明する為に動き回る4人の高校生・大学生のお話。
 結果から言いますと、川藤は犯人ではありませんでした。犯人はターゲットと見誤り、間違えて水沢を縊り殺してしまい、殺人の罪を前科者の川藤に押し付けようと企んだのだ。
 正直、この事件の真相自体、俺は「ナメてる?」とか思った。けれどまぁ、現実に殺人を犯そうとか考える人間の心境なんて知らないので、そう言うナメた事もあるかも知れないと自分に言い聞かせれば許容範囲。でも、主人公達の推理が気に入らない。だって、理論に無理のある推理に4人にとって都合の良いように理由を付けておいて、その理由に従って事実が後付けされながら構成されている感があるから。それを「推理」と呼ぶのは、あまりにも稚拙じゃァないだろうか?
 且つ、推理部分以外にも光る何かを見つける事が出来ない作品でした(だからと言って、貶しを入れるような酷い作品ではないですが)。唯一の救いは「本が薄かった」事かな。そんな感じ。
 

【ポストガール】
  評価点:65点  刊:電撃文庫  著:増子二郎  絵:GASHIN
   郵便配達に従事するアストロラーヴ・メイルサーヴィス社備品の人型自律機械メルクリウスMMF108-41――通称シルキー ――。彼女のプログラムに発生したバグが、少しずつ彼女を人間にしていく、ほのぼのテイストのストーリー。駄目だ、この手の物語に弱い傾向にある。
 短編構成で読み易くなってます。一話ごとに少しずつ人間に近付き、その都度メルクリウスとしては「壊れ」ていくシルキー。それが彼女にとって喜ばしい事である――そう願いたい物ですね。
 所で、後書きで増子氏が仰っていた、シルキーが生まれる理由になった「何気ない一言」って?続巻が出るならば、その事についても触れられるのでしょうか?

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